【竹林の裏表のお話。】
幻想的で、凛とした美しさ。
人々を魅了する竹林。
まっすぐ、ぐんぐん伸びる竹は
生命力を象徴するおめでたい植物とされてきました。
実はその竹林も今、
ある問題を抱えているのをご存じでしょうか。
それが放置竹林です。
【放置竹林について】
実は日本にある竹林の広さは約15万9千ヘクタール。
そしてその竹林の99%が孟宗竹と真竹で構成されています。
さらに、そのほとんどが自生で元からその土地に生えていた竹はなく、
後から人の手によってつくられたものだそうです。
しかし今、
竹林管理者の高齢化、
安価な輸入品の増加と、
そもそも竹材が使われなくなってきたことなどの要因により
竹林が管理されず放置されています。
竹林が放置されることによってどんな問題が発生するのでしょうか?
【放置竹林の何が問題なのか】
竹は成長速度がとても早い事が知られています。
冒頭で申し上げた通りその生命力が縁起物としてポジティブに捉えられている反面、
その他の樹木の日光を遮るほどにあっという間に成長し枯らしてしまう事がわかっています。
様々な樹種やそれに集まってくる小動物などを含めて複雑に絡み合った森の生態系を崩す要因となっているのです。
また、竹の地下茎は樹木の根と違い広く浅く広がります。
それは山の表面を覆う「ネット」の役割は果たしているのですが一方で、
「杭」の役割は果たしておらず、
放置された竹林が侵食してしまっている山肌などではがけ崩れなどの災害を引き起こす要因ともされています。
【このままどうなっていくのか】
現時点では主に西日本を中心に問題となっている放置竹林ですが
温かい環境を好む竹林は、このまま温暖化が進むにつれて
北限を北海道の稚内まで広げ、侵食するシュミレーションもされています。
日本では最近長く激しく続く雨が頻発していますが、このような大雨の時に
竹林が山のほとんどを占めてしまっているような状態ですと日本の山林は人間にとって脅威となってしまうでしょう。
ここで言いたいことは果たして竹が悪いのでしょうか。という事です。
私はそうではないと思います。
竹を使った製品が重宝されていた時はそれにあやかって大量の竹林を作り、その恩恵を受けてきた後、需要がなくなってしまったからといってその竹林を放置してしまっていい理由にはなりません。
現在でも竹林を所持されている地主さんや山主さんを始め、日々の管理を怠らずこの問題と向き合っている方々はたくさんおられます。
大きく大変な問題ですが、
直接的に関わる事ができなくても
まずは問題を知ること、そして
何ができるのか考えてみる
さらにはまずは少しだけでいいので自分にできる範囲で動いてみること
そのような一人一人の取組が集まって大きな流れとなっていく事が重要なのではないかと思います。