【禅と日々のお手入れ】
私達が扱う木のお皿はもちろん、そうでなくても
日々生活を共にする道具のお手入れの時間は
自分と向き合う大事な時間です。
というお話です。
木の器やお皿は天然素材である木を活かして創られる道具ですから、
姿を変えた後も呼吸し生きています。
その分、日々のお手入れが必要で、使う際に気を付けなければならない事もあるわけですが、
私たちはこれを木のお皿や器のデメリットとは捉えていません。
大事にしている道具と向き合う時間を意識的にとり、
お手入れをする時間は器を始め、木の道具にとって必要であることはもちろんですが、
使い手さん自身にとっても大切なひとときであると考えています。
この考えは自分自身の体験ももちろんなのですが
禅の心を大事にしているお寺さんの考え方から学んだことでもあります。
今回は禅の心に通じる道具のお手入れについて。
【禅とは】
座禅を中心とした修行を行い解脱を説くもの。
解脱とはよく聞く「悟り」でしょうか。
迷いや煩悩から解き放たれて
自由な心を手に入れるという事とだそうです。
凡人である私にはとっても難しいお話です。
【禅にとっての掃除、お手入れとは】
禅寺の修行の中でも大事な事の一つが、
日々の掃除や道具のお手入れ。
ズボラな私なんかは汚くなったから仕方なく掃除をする。
散らかってきたから片付ける。
日々の掃除をそんな捉え方をしてしまっています。
その考え方では、掃除の目的が片付く事、綺麗になることであり
掃除をする事自体は意味がありません。
あくまでも
「仕方なく、やらなければならない」
からやっているだけの状態です。
禅寺での掃除の意味とはそんな事とは全く違いますから、
毎日行き届いた掃除、お手入れをしていてピカピカな状態であろうが、
必ず掃除、お手入れを行います。
禅の教えの中では掃除=心の塵を払う事。
毎日その名の通り塵が積もっていく自分の心を磨くことの
所作として掃除を行っています。
自分自身の心を磨くために掃除をし
その心の現れとしてお寺が綺麗になっている。
とっても素敵なお話だと思いませんか?
当然ながら道具のお手入れも同様です。
道具を大事にお手入れすることで
おのずと心が磨かれ、
気持ちもスッキリします。
自己と向きあい、心の変化を感じる
きっかけとなるそうです。
お手入れをしているとき感じてほしい
今磨いているのは自分の心である。
という気付き、感覚。
野球選手のイチローさんが
道具を大事にしている話は有名ですね。
【意識して道具のお手入れの時間を】
情報過多、スピード勝負の現代で敢えて、
自分の大事な道具としっかり向き合い
お手入れする時間を積極的に作ることで、
自分を大事にする感覚も磨けるのでは。
暮らしの中に何かひとつ
こだわりの道具を、そして
お手入れをする大切なひとときを
取り入れてみてください。