木工品のリペアについて
木工品は長く使えば使うほど愛着が湧き、生命が宿ることさえあるといわれています。少々のキズや割れ・ヒビなどは歴史を生き抜いた勲章のような趣さえあり、自らの半生を重ねる方も少なくありません。とはいえ、キズが後世によからぬ影響を遺すこともあるのが世の中。すみやかにリペアできることが望ましく、木工品もいっそう健やかに生き永らえるに違いありません。プロに依頼するのが順当路線ではありますが、道具を揃えさえすれば自分でリペアできることもあります。必要なのはヤスリとそれぞれの塗料・用途に応じた接着剤・固定するハタガネ等、そして木工品への愛情です。
自分でリペアできる木工品とできないケース
自分でできるリペアとできないリペアがあることは知っておきましょう。そのキズや欠損を味わいと思い、記念に遺すか遺さないかの判断はもちろん、自分にできる範囲、どの程度の失敗まで許容できるかなど慎重に検討する必要があります。
無垢材木工品のリペア
木の風合いを生かした無垢材の木工品には、無塗装品が見受けられることもありますが、ほとんどがオイル塗装です。無塗装品はもちろんのこと、オイル塗装も塗膜がないため汚れやキズが付きやすい反面、自分でリペアできる可能性が高くなります。
ウレタン塗装品のリペア
量販店の比較的安価な家具の大部分がウレタン塗装です。木工品でもウレタン塗装の製品が見受けられます。塗膜が厚く固いためキズが付きにくい反面、いったんキズが付いた場合の補修は困難を極める点がデメリット。専用の塗装設備が必要となるのでリペアはプロに依頼することをおすすめします。
割れや欠けのリペア
パーツの割れや欠けに関してはケースバイケースです。近年はYouTube等でノウハウが公開されているのでチャレンジするのもひとつの選択にはなります。または割れや欠けを味わいとして許容するか、プロに依頼するかになります。ただし、高価格で購入した木工品は、修理依頼するとそれなりの価格になることは覚悟しておきましょう。
自分でできる?木工品のリペア方法
家具屋さんや引越し屋さんが壁やフローリングのキズのリペアに使うのがタッチペンや補修シートです。さまざまな種類があり、本物と見分けがつかないくらいの商品も市販されています。一歩踏み込んで、より自然な風合いを出したい場合、サンディングにより周囲と馴染ませたり、パテ埋めする方法があります。ただし、塗膜のある木工品、キズの範囲や深さによっては大変な作業になるので注意が必要です。プロに任せることも併せて考えましょう。
タッチペンや補修シートを使ってみる?
壁や柱のキズはタッチペンや補修シートで目立たなくすることができますが、木工品に対してタッチペンや補修シートを使うのは躊躇してしまいがちです。けれども、もっとも手軽な方法であることは事実。タッチペンの色やシートの木目も多種多様な商品が市販されているので、適した色合い・木目の商品を選ぶのはそう難しいことではありません。補修する前にキズの部分のゴミや埃を取り除き、場合によってはサンディングも必要になります。
サンディングによるキズ消し
オイル塗装の無垢材の場合、キズの付いた部分に濡れタオルを当て、アイロン等で温めます。すると水分を吸ったキズの部分が膨らんで削りやすくなります。キズが膨らんできたらサンディングです。粗目のサンドペーパーから始めてだんだん細目にしていくのが定番ですが、広範囲に削りすぎないよう気を付けましょう。サンディングでキズが目立たなくなったらOK。キッチンペーパー等にオイルフィニッシュを含ませて塗り込めば完成です。
欠けや窪みのリペア
市販のウッドパテを必要な分だけ取り、指でこねます。欠損部分にプライマーか瞬間接着剤を塗り、パテを詰め込みます。乾いたら余分な部分をカットし、サンディング等で周囲と馴染ませていきます。馴染んだら、色を整えながら塗装して終了です。ただし、パテの部分だけ色合いが変わってくるケースがあります。調色もある程度の技術が必要なので、広範囲なパテ埋めはプロに任せるのが無難です。
割れやヒビの接合
割れやヒビ、椅子の脚が折れてしまったなどのケースには、木工用ボンドで接着する方法があります。接合部分にすき間なくたっぷり塗ることがポイントです。塗り終わったらハタガネ等で固定し、はみ出したボンドを濡れタオルできれいに拭き取ります。ボンドが完全に乾くまで約1日置き、場合によっては補強のために細いビスを打ち込みます。接着面やビスの頭が見えないよう周囲に馴染ませながら塗装して終了です。
キズや欠けも味わいや思い出となる木工品
ヴィンテージ家具が高価格で取引されているように、木工品もキズが味わいとなって価値を高めることは少なくありません。時間が経つごとに味が深まるのは、ワインも木工品も、人も同様です。DIYで補修することも思い出なら、キズそのものも思い出。木は加工されてからも、樹木として生きた同じ年月を生きるといわれています。木工品はモノとしての範疇を超え、生活を共にするかけがえのないパートナー。HAND in HANDでは一流の職人による無垢材の木工品を販売し、収益の一部を森林保全活動へ還元しています。