木工品のメンテナンスについて
無垢の木工品を手に持ったときの何ともいえないしっくり感。多くの方が経験あることでしょう。プラスチックほど軽すぎず、金属ほど重くも冷たくもない温かみと木目の美しさに酔いしれてしまう方は少なくありません。使い込むほどに味わい深くなるのが木工品の良さ。少々のキズやシミなど長い年月を生き抜いた勲章のように誇りたくもなりますが、よりいっそう長く付き合うために、ある程度のメンテナンスは必要です。
木工品のメンテナンスの基本
自然のものだから自然にしておくのがいちばんと思いがちですが、森から切り出され、木工品として加工されたときからすでに半分は人工物。気にかけ、そこそこの手入れをするに越したことはありません。手入れをすることでより長く使えるのはもちろん、いっそう愛着が増します。
保管場所・置き場所に注意する
木はプラスチックや金属と違い湿度や温度に大きく左右される素材、保管場所には注意したいものです。冷暖房機の近くなどもってのほかで、直射日光は避けること、乾燥しすぎないジメジメしていない場所が好ましいでしょう。
また、ある程度の変色やキズは過ぎし歳月を振り返る勲章のようなものと誇らしくもなりますが、カビは看過できません。たとえ日常的に使用するコーヒーカップやスプーンであってもメンテナンスは大切。濡れたまま放置せずすぐに拭き取る、乾きやすい場所に置くなどの措置が必要です。
拭き取りメンテナンスはマメに
どのような木工品であれ、埃が被ったままにならないよう日々の拭き取りは大切です。なぜならば、埃の被ったそこがカビの温床になったりするからです。乾いた柔らかい布でマメに拭き取りましょう。
汚れが付いてしまった場合、鏡面仕上げやウレタン塗装の木工品なら拭き取ればかんたんに取り除くことができますが、オイル塗装や無塗装の木工品はシミになることもあります。汚れの段階に応じて、固く絞ったタオルで丁寧に拭き取っていく、あるいは中性洗剤を薄めて使うなどの方法がとられます。
汚れの拭き取り方法
まず、中性洗剤をぬるま湯で100倍程度に薄めます。その中に柔らかい布を浸し、固く絞ってから拭き取ります。この時点で汚れが取れたとしても、木工品に洗剤が付着したままだと、またシミになってしまいます。別の柔らかい布をぬるま湯に浸して、洗剤が残らないよう拭き取らなければなりません。最後に、日常のメンテナンス同様、乾いた布で拭き取ります。
木工品メンテナンスでやってはいけないこと
近年は汚れや埃を取りやすいとしてマイクロファイバー素材のタオルが流通しています。けれども、木工品の拭き取りには不向きです。木はデリケートな素材ですから、化学繊維の入った布を使うと、キズが付いたり塗装が剥がれたりする可能性があります。
カビ対策といえばカビの除去剤を使用し、ガンコ汚れに漂白剤、酸性・アルカリ性の強い洗剤を用いるのは一般的な洗濯物の場合であって、木工品には当てはまりません。木工品にカビの除去剤や酸性・アルカリ性の洗剤を使うことはご法度。表面塗装を剥がしてしまうばかりでなく、汚れやシミを作り、取り返しのつかない状態に陥ります。
ウレタン塗装品のメンテナンス
家具量販店などで店頭に並んでいる家具のほとんどはウレタン塗装です。塗膜が厚く固いため、キズがつきにくく汚れもかんたんに拭き取れるメリットがあり、トラブルやNG行為さえなければ10年は持つといわれています。ウレタン塗装の木工品のメンテナンスは、日常的な掃除の範囲、乾いた布で拭き取るくらいで十分でしょう。
一方で、一度キズがついてしまうと非常に目立つこと、DIYでの補修が難しい点などのデメリットがあります。また、高温のものが直接触れると塗膜が白化してしまうので注意が必要です。
無垢材木工品のメンテナンス
無垢材木工品には、無塗装品と植物性のオイルを浸透させるオイル塗装の木工品があります。オイル塗装はオイルフィニッシュともいい、塗膜を作らず木工品の手触りや風合いを楽しめると共に腐食や劣化を防ぎます。塗膜がないため、キズや汚れがつきやすい点がデメリットです。
日常的なメンテナンスはウレタン塗装品と同様、乾いた柔らかい布で拭き取るだけですが、時間の経過と共に塗装効果が薄れていきます。そのため、半年から1年に1回程度のペースでの定期的なメンテナンスが大切です。メンテナンスとはオイル塗装。といっても、特別な装置や技術が必要なわけでなく市販のオイルやワックスを柔らかい布に少量染み込ませ、木目に沿って刷り込むように拭いていくだけです。最後に乾いた布で拭き取ったらメンテ終了。無垢なので少々のキズは味わいとも取れますし、気になるキズも丁寧なヤスリがけとオイル塗装でDIY補修できます。
受け継がれてゆく木工品
メンテナンスと可能な範囲の補修を繰り返すごとに味わい深く、愛着も増していくのが木工品の良さでもあります。木工品も、家族やペットと同じように生命を繋いでいくものです。HAND in HANDでは、代々受け継がれるに相応しい木工品を取り揃え販売しています。収益の一部を森林保全活動へ寄付するのは、木工品を生んだ森もまた、代々受け継がれていくよう願うから。すべての生命が循環する世界でありますように。